安楽寺の建立は今から440年ほど前の天正10年(1582年)、『本能寺の変』があった年。
芝は古くは漁村だったらしく、最近築地から豊洲に移転した魚市場も江戸時代には日本橋とこの付近にあった。大きな魚は日本橋の市場、小さな魚は芝の雑魚場(ざこば)市場で扱われたという。幕末にはこの近くの薩摩藩邸で勝海舟と西郷隆盛による江戸城無血開城の会見が行われた。
このような歴史ある町で安楽寺は「浜の安楽寺」と呼ばれ長年親しまれてきた。
明治になると新橋から横浜まで日本初の鉄道が敷かれ、安楽寺のすぐそばを蒸気機関車が走った。今は埋め立てが進み海も遠くなったが、昭和初期にはこの辺りで海苔を干す光景が見られたという。今も近くに船宿があり、屋形船に乗って東京湾のレインボーブリッジやお台場を巡ることができる。
安楽寺の堂宇は大正時代の関東大震災で焼失したが、温もりのある本堂は昭和4年に建てられたもので、昭和20年の東京大空襲の被害を奇跡的に免れることができた。都心では大変貴重な木造作りである。
時代と共に安楽寺の周辺は大都会へと変貌し、徒歩10分前後の駅が6つも点在する。首都高の芝公園ICからも近く、新幹線の東京駅と品川駅、飛行機の場合の羽田空港や成田空港からのアクセスも抜群である。この便利さも、葬儀や法事、墓参りの際に全国各地から親族が集まりやすいと大変好評である。