【住職】平井 之教 (ひらい しきょう)
■地域の可能性を感じて、専徳寺の住職に
私は定年まで公務員として勤めながら、大月市にある淨照寺の住職をしていました。淨照寺の家に生まれたものの、若い頃はお寺が嫌で嫌で仕方なかった。けれど35歳の時に父である先代住職が亡くなり、責任感が芽生えたんです。兼務は忙しくて苦労しましたし、子どもを遊びに連れていってやれなかったことは申し訳なかったと思うこともありますが、親鸞聖人が開いた浄土真宗の教えを伝えるお寺を潰してはいけないという一念でやってきました。
専徳寺の住職になったのも、淨照寺を継いだ時と同じで、廃寺にしてはいけないという信念からでした。専徳寺とは親戚関係があり、私も本当は隠居してのんびりと暮らしたかったのですが、恩に報いるためと思ってもう一頑張りさせていただくことにしました。
専徳寺には、無住職の時代が長かったとは思えないほどの立派な伽藍がありますし、門徒さんのためにもお寺を守りたいと思いました。そして専徳寺のある地域にも魅力や可能性を感じました。ここは平地にあるお寺で、墓地を広げられる場所もある。近くにはバイパスも通っていて、周囲の人口や世帯数も増えているそうで、地域的に恵まれた場所だと思っています。これから専徳寺も活性化していけるのではと期待しています。
■親鸞聖人の他力本願の教えをもっと伝えたい
若い頃は自分の考えが一番正しいと思っていたこともありますが、自分の力だけではお寺は続けられませんし、多くの支えがあってこそできることです。そして何より親鸞聖人の教えのおかげで住職を続けてこられました。
私は親鸞聖人が広めてくれた他力本願は、すばらしい教えだと信じています。人間は誰もが必ず死んでいく。そこには不安があるでしょう。けれど、永遠不滅のお浄土の世界に生まれ、煩悩だらけの私が仏様にさせていただけると思えば、その不安とともに生きていくことができます。他力本願というのは、人間の力ではなく、阿弥陀如来の力によって救われること。この阿弥陀様を中心としたお念仏の教えをしっかりと門徒さんに伝えていきたいです。お寺のことは年寄りに任せる傾向が強いと思いますが、最近は以前よりも若い方も仏教に関心を持ち出しているようにも感じています。
今後、専徳寺で仏教壮年会や仏教婦人会を定例にしていきたいという夢があります。みなさん、お忙しいとは思いますが、声をかけていきたいですね。かつて淨照寺でも仏教壮年会を始めた時、最初にやってきたのは2人で、そこから徐々に増えていきました。そうやって1人、2人と始めていければいいなと思っています。