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えいちざん ちょうねんじ永池山 長念寺

室町後期から続く古刹で、天文3(1534)年に造立された御本尊の阿弥陀如来像や幕末期に建てられた山門、文化・文政年間に再建された本堂など、美術的にも建築的にも見ごたえのある文化財が数多く残されている。

現在の住職小林泰善氏は17代目。25歳の若さで、後を継いでから今日まで「もっとお寺に足を運んでほしい」「もっと気軽に法話に親しんでほしい」との思いで、本堂でアカペラと念仏のセッションをしたり、定期的に落語会を開いたり、テレホン法話(毎月2回更新)を行なったりと、新しい試みを積極的に行っている。

歴史

長念寺の始まりは、大永2(1522)年に法専坊が、この地に草庵を築いたことと伝えられている。当初は真言宗の寺だったこともあり、山号は年号にちなんで「大永山」だったが、文禄元(1592)年に近くにあった三日月湖にちなんで「永池山」と改称された。

やがて徳川家の家臣だった中根平十郎正朝の母、秀月禅尼の厚い帰依を受け、徳川家が本願寺を東西に分立させた際、東本願寺に帰属。慶安2(1649)年の秀月禅尼の1周忌には、平根正朝によって本堂、山門、庫裏などが寄進された。その一方、門徒たちは、東本願寺に属することを不満に思っていた。慶長19(1614)年の大坂冬の陣、翌年、慶長20(1615)年の大阪夏の陣には門徒衆のみの意思で豊臣方に加勢したという伝統もあった。こうした強い門徒衆の思いを受けて元禄14(1701)年には西本願寺に帰参し今に至っている。

現在の本堂は文化・文政年間に再建されたものだが、平成に入りおよそ200年ぶりとなる大改修。この大改修により、豪華絢爛たるかつての姿を取り戻している。見事な彫刻が施された金色に輝く欄間や、内陣の極彩色の柱、格天井の彩色画など、彫刻と絵画のコラボレーションは息をのむ美しさで見る人を圧倒する。

また、室町時代に作られた御本尊の阿弥陀如来像と、平成に制作された本間紀男による脱乾漆造りの親鸞聖人坐像は、当寺が紡いできた長い時間をつなぐ美と信仰の共演ともいえる。幕末期に作られた山門は、江戸深川の後藤弥太郎と地元の大工が彫刻の腕を競い合い完成したもの。そのため、門扉の2つの定紋の彫刻を見比べてみると、両者の差がよくわかるのでおもしろい。

本堂や山門と同様に、庫裏も川崎市の重要歴史記念物に指定されている。生活の場である庫裏は保存されている例が少なく、当時の建築様式を知る貴重な資料となっているからだ。さらに庫裏の書院の天袋の絵は谷文晁によって描かれていたり、当寺に宿泊した山岡鉄舟が筆をふるったりしたもの。江戸後期から幕末にかけての当寺と文人との交流をうかがい知ることができる書画も残されている。
(山門と本堂のお参りは随時自由。庫裏の見学を希望する場合は事前に電話予約が必要)

住職インタビュー

【浄土真宗を好きになってもらいたい】
複雑な現代に生きる私たちにとって、煩悩を断ち切るのはなかなか難しいことでしょう。しかし、人生に悩んだときや迷ったときは、どうか気軽に法話を聞きに来ていただきたいと思います。
もちろん浄土真宗の教えというのは奥深くて、インフルエンザの特効薬のように「すぐ効く」ものではありませんから、一回の法話を聞いて「すぐに理解できた」「救われた」という風にはいきません。
ただ私が座右の銘として大切にしている言葉に「継続は力なり」という言葉があります。その言葉の通り、定例法座や連続研修会などでも、最初はまったくわけがわからないという顔をされていた方が、幾度も繰り返し聞いているうちに、あるとき「はっ」と腑に落ちる、わかる瞬間が来るというのを何度も見てきました。こうした例もありますから、ぜひ法話を聞く機会を増やしてほしいと思いますし、なにより親鸞聖人や浄土真宗を好きになってほしいと思います。

【誰もが生かされている、日々の生活はありがたい】
私は龍谷大学で、仏教学を専攻しました、その仏教学の先生が、親鸞聖人や阿弥陀様のお話をなさるときに、急にトーンがあがる方だったんですね。非常に嬉しそうに、嬉々としてお話しされる。「浄土真宗の信」というものを伝えられる、広められるということが嬉しくて仕方なかったんでしょうね。私もまた、先生と同じように考えている節があります。一人でも多くの方に「浄土真宗の信」を伝えられたらと願っているのです。
特に最近は「自己責任」や「自己判断」といった言葉をよく聞きます。しかし、私たちが自分の責任において決定できることなど、人生においてほんの一握りほどのものでしかありません。この世には自分一人の力で生きている者などいないのです。誰もが支え合って、そして生かされているのです。それを忘れないで、目に見えるものばかりでなく、目に見えないものを大事にして、日々の生活をおくっていただければと思っております。

葬儀・法事・法要

最近は簡素な家族葬にしたいという要望も増加している傾向にあります。しかし、亡くなった方のこれまでの付き合いを断ち切ってしまうような家族葬は、地域のつながりやコミュニティーを崩壊させる一因になっているのではないかと危機感を感じているのだそう。

当寺では、本堂を利用しての葬儀は行っておらず、門徒の自宅や葬儀会場などに住職が出向く形式を取っている。また、客殿庫裏には法事、報恩講、盂蘭盆会など、仏事の際にお斎をいただく場所が完備されている。本堂までの移動用の車いす専用スロープもつくられている。

お墓・納骨堂

境内には一般墓と合同墓があり、基本的には墓地の使用は長念寺の門徒のみ可能。また合同墓も基本的には一般墓を維持できなくなった門徒の改葬用である。墓地管理料は年間3,000円。

お墓に関するしては電話で直接問い合わせください。

イベント情報

連続勉強会(3月から11月のあいだ毎月1回)

3月から11月のあいだで毎月1回行なわれており、講師を招いて2年間で計18回で一つのテーマについて学ぶのだそう。過去には『歎異抄』『和讃』『御消息』などの講義が行われた。一般参加も可。

ご旧跡参拝1泊ツアー(毎年6月)

年に一度、泊りがけで浄土真宗ゆかりの地をめぐる「ご旧跡参拝1泊ツアー」を開催。過去には念仏者であった小林一茶のふるさとである長野や、鹿児島の隠れ念仏の祠、三河一向一揆の旧跡など様々な場所を訪問している。詳しい日程や行先はHPのブログに随時掲載される。一般参加も可。

落語会(10月の第3または第4土曜日)

10月の第3、または第4土曜日に本堂にて開催されている。詳しい内容はHPのブログに掲載されているそうだ。一般参加も可能。

寺院情報

寺名(ふりがな) 永池山 長念寺 (えいちざん ちょうねんじ)
住職 小林泰善(こばやし たいぜん)
郵便番号 〒214-0014
住所 神奈川県川崎市多摩区登戸1416
電話番号 044-911-2549 ※テレホン法話/044-911-8282 (毎月1日・16日更新)
FAX番号 044-911-8960
ホームページ http://chonenji.jp/www/
交通

JR・小田急線「登戸駅」下車徒歩15分
小田急線「向ヶ丘遊園駅」下車徒歩12分

駐車場 第1駐車場・第2駐車場の2ヶ所。計22台駐車可。 ※第2駐車場は開放されていない時あり。
地図