■歴史を重んじるより、今に生きる人との絆を大切にしたい
最德寺の住職になり、6年がたちました。地域のみなさまやご門徒さんとの繋がりを大切にしながら、皆さまが笑顔になっていただけるお寺でありたいと考えています。だから今もお線香は手渡しを続けています。お線香をお渡しするときに、皆さまとしっかり会話をしたいからです。お墓参りの多い時期には私・坊守・前坊守とみんなでお線香を手渡ししてお話するのが恒例なのですが、母親の方が人気で、お線香を求める人の列が長いんです(笑)。
当寺には800年近い歴史があります。歴史は大切ですが、歴史の長さが大切なのではなくて、昔を振り返ることより、現在の人のためにお役に立てるお寺でありたいですね。
こう思えたのは、前坊守である母親の影響です。母親はオープンな性格で、私が幼いころから、ご門徒さんをはじめ、地域の方々に温かく接している姿勢や慕われてる姿を見てきました。自分の“人となり”がお寺の核となり、私という人間を通じて、お寺に通ってくださる方や頼ってくださる方が増えればと思っています。
■「努力」をすることの難しさ、人間のこころに想いを巡らせる
座右の銘はボクシング漫画の名作である『はじめの一歩』という作品に出てくる
「努力した者が全て報われるとは限らん しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!」
という言葉です。ひとつのことに信念をもって成し遂げる忍耐力や精神力には尊敬の念がありますね。誰かが何かに打ち込む姿に心打たれるんです。甲子園球児を見ていると、なんだかわからないけれど、胸が熱くなって泣けてきませんか。
何かを「頑張る」とか「一生懸命にやる」ということは、口では簡単に言えても実践するとなると大変難しいものです。自分自身も「努力をする」ということができていたか、自問自答してしまいます。いくつになっても、そのようなことを考えてしまいますね。