■“話せる人”がいるだけで、心救われる瞬間はきっとある
今の時代は、ひとりで過ごす人がとても多くなりました。悪いことではないのですが、自分だけの楽しみ方がある反面、悩みや苦しみも、自分の中に抱え込む人が少なくないような気がします。そして悲しいことに、つらさに耐えきれず自ら命を絶ってしまった人の話も、時おり耳に入ってくるのです。そのたび、「周りに話せる人はいなかったのだろうか」「お寺がそういう存在になれないものか」と、考えてしまいます。とは言え、私の幼少期に比べ、お寺へ訪れる人々も少なくなりました。特に若い人は、お寺に対して高いハードルを感じる人が多いのかもしれません。しかし本来、お寺はもっと気軽に顔を出せる場所ではないかと思うのです。そこに行けば、気さくな住職やその家族がいる。そして、自分が何かに躓いた時や、苦しみに打ちひしがれそうな時には、その話をちゃんと聞いてもらえる。皆さんにとって、そんな存在でありたいと思っています。
■「お寺は遊びに行くところ」。だから一緒に楽しみ、ご縁を繋ぐ
お寺に来てもらえる機会を増やすため、私たちは色々な企画を立てることにしました。例えば、『正念寺 参れー寺カード』は、息子夫婦のアイデアです。「ほかのお寺でやっていたポイントカード。うちでもどうかな?」と息子が持ち込み、それを息子の連れ合いさんが「じゃあ、『参れー寺』ってどうですか?」と発案し、みんなで大笑いしながら作りました。始まってみると、ご門徒の皆さまは楽しそうに「参れー寺」を貯めてくれています。また、昨年から始まった『グランドゴルフ正念寺杯』では、トロフィーを作り、1位を目指して私と妻も参加しました。……ふたり仲良く、最下位とブービーだったんですけどね。皆さんと一緒に楽しむことで、距離が近づくような気がするのです。
今後も、遊び心ある取り組みで皆さまとお寺とのご縁を増やし、それが先々の代まで続く関係を作っていこうと思います。