■空間も情報もオープンにしたい
本堂には「弘宣正法(ぐせんしょうぼう)」という言葉を飾っています。弘宣とは広く述べること、正法とは、正しい仏法。つまり、浄土真宗を多くの方に伝えることを大事にしております。その一環として、早い段階からホームページやSNSを開設・活用しており、浄土真宗の考え方、お墓に関する情報、私の日頃のつぶやきなど、情報を公開しています。
門徒の方はもちろん、そうではない地元住民の方のためにも、正法寺は“開かれた空間”であって欲しい、という願いが私にはあります。そのために交流の場として、施設の一部を提供することは多いです。以前も劇団を主宰する方より「本堂でお芝居を演じたい」という要望がありましたので、喜んでお貸出ししました。
■ 仏跡巡りで現地法要
私の趣味のひとつは、海外の仏跡巡り。インド、ネパール、ブータン、中国などに行きました。『ブッダの世界』(中村元・編著)という名著があるのですが、それを若い頃から何度も読んでいて「いつか現地に行ってみたい」と思うようになっていました。そして20年ほど前に築地本願寺和田堀廟所奉讃会の一環でインド旅行をして以降、仏跡巡りは私のライフワークのひとつになりましたね。
お釈迦様の跡を辿ると「ああ、ここで悟りを開いたのか」「鳥たちの鳴き声はこういう音だったのか」「お経の中のたとえ話はこれのことだったのか」と実際に訪れることで、腑に落ちることが沢山ありました。それを経験すると、法話の伝え方も少し変わってくるんですよ。
この話をすると、「私も行ってみたい」と言う人が多く、今では希望者と一緒にグループで行くことにしています。実際の仏跡を前に私は現地法要をさせて頂くのですが、皆さん、日本にいるときとは聴く意識が違います。繰り返し参加してくれる方も大勢いて、不定期開催ですが、今では正法寺の人気行事のひとつになりましたね。