■常に感謝の心を忘れずに
私は栃木県益子の浄土真宗の寺に生まれました。高校まで地元で過ごした後、龍谷大学進学のため京都へ行き、卒業後は伝道院や月参りの手伝いをして約5年を過ごしました。京都での生活に大変愛着がありましたが、父親である前住職の体調が思わしくないということもあり、築地本願寺に勤めることが急遽決まったんです。築地に5年程いる中で、ご縁があり29歳の時、桐生にやってまいりました。当初は故郷の隣県でありながら風土や習慣の違いに少なからず戸惑いを感じておりました。しかし桐生のご門徒の皆様は、外からやってきた自分を温かくもり立ててくださったのです。皆様には感謝の念でいっぱいでございます。
■「一期一会」の精神を大切に相手に接する
法事やお葬式、法話会など、自身としては何度も同じことをお話する機会がありますが、お会いする方々は都度違います。特にお葬式の場面では、愛しい人をなくされた方々の悲しみと丁寧に向き合うように心がけています。
私は龍谷大学時代に茶道を習っていました。茶道の心得である「一期一会」の精神を大切に、何事も粗末に扱うことのないように努めています。
■お寺を身近に感じてもらえますように
多くの方々は、お寺に対して敷居が高いと感じてらっしゃるかもしれません。浄土真宗という宗派でさえも分からない方も増えていくでしょう。しかし急激に移り変わる生活や価値観に合わせ、皆さまが感じる敷居の高さをどれだけ下げられるかが重要だと思っています。土地柄、圧倒的に他宗派が占める中で、私は「浄土真宗はこうなんですよ」と無理強いすることはいたしません。ご門徒の方々とお話をする際も、なるべく仏教用語は使わないようにしてわかりやすく話をするように心がけています。