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しうんざん ほうふくじ紫雲山 法福寺

山梨県都留市、田野倉に佇む法福寺。豊かな自然に囲まれながらも、最寄り駅である富士急行電鉄田野倉駅から徒歩7分と電車でのアクセスも良好だ。

敷地に足を踏み入れると立派なイロハモミジが枝を伸ばし、涼しげな木陰を作っている。秋には紅葉が見事で、四季折々の表情をみせる。本堂のそばの桜の木はご近所さんの間では評判のお花見スポットでもある。

法福寺は小さなお寺だ。「他の寺院と比べると立派な門もなくて…」と住職は謙遜するが、その代わり、子どもたちをはじめ、近隣の住民がふらりと立ち寄れる気軽さがある。

住職は境内で学習塾を開いているほか、趣味で嗜んでいるピアノもミニコンサートを開くほどの腕前。冗談を織り交ぜた軽快な語り口で仏教の教えをわかりやすく伝えてくれ、つい聞き入ってしまう。門徒さんをはじめ、塾の生徒や親御さん、たまたま立ち寄った一般の方まで、人生相談を受けることも多々あるそうだ。

法福寺は、そんな住職の親しみやすい人柄をあらわしたような、まさに“駆け込み寺”のような存在である。

歴史

法福寺のルーツは信州長沼(今の長野県)にある。時は戦国時代、1561(永禄4)年の川中島の合戦で戦火に遭い、本堂が焼け落ちてしまったため、周円房西賢(以下西賢)は宗祖から頂いた古本尊と二十一箇条の禁制などを持って、甲斐国(今の山梨県)に逃れた。
西賢は念仏を広めることに熱心であったため、彼のもとにみ教えを求める村民が集まった。そこで彼は坊舎を建て、「浄興寺」と号した。その後第4代の了樹法師の代に寺基を数キロ移動し、今の寺がある田野倉の地に移転。慶安3年、第6代の宗玄法師の代に寺号を「法福寺」とあらため、真宗大谷派(東本願寺)に転派した。その約30年後の第7代宗沢法師の代に浄土真宗本願寺派(西本願寺)に再び戻った。

甲州に移転してから約450年、現在の住職は第18世にあたる。現住職の祖父である第16代は1927(昭和2)年に東京蒲田の御園町にて説教所『蒲田仏教会堂』を開設し、1948(昭和23)年には同地に「浄興寺」を開いた。
現在は父である第17代亮爾氏が浄興寺の住職を勤めているため、必然、山梨の法福寺は空寺となってしまうおそれがあった。長年お付き合いのあるご門徒さんのために出来ることがあるなら、と、1996(平成8)年に現住職である、田ノ倉俊士氏が継承した。

住職インタビュー

■“救われがたい人を救う”をモットーに、地域の子どもを学習面で支える

法福寺は、ここ山梨で約450年間、田野倉の人たちとともに歩んでまいりました。私は18代目で、1人でお寺のすべてを切り盛りしています。

実は生まれ育ったのは東京で、得度は15歳の時で比較的早かったのですが、学問好きが高じてしまい、龍谷大学から東京大学文学部に学士編入し、さらに上智大学大学院へ…と、お寺の道から逸れた青春時代を過ごしました。

住職となったのは25歳の時。山梨にやってきた当初、勉学面で大変な困難を抱えているがゆえに、将来に希望がもてなくなってしまった子どもたちが大勢いることを知り、衝撃を受けました。父の、「住職はそれぞれの好きな道で活躍するのが良い」という教えにも背中を押され、お寺の敷地内でマンツーマンの学習塾を開きました。

はじめはご門徒さんのご家族向けだったのですが、だんだんと口コミが広がり、遠方の方やご門徒さん以外の生徒さんも増えました。少し変わった塾で、勉強ができる子はお断りしています。勉強で困っている子を救うための学習塾です。

これまで、たくさんの子どもたちに向き合ってきました。中には家庭で暴力を振るってしまう子や、心の病を抱えている子もいましたし、大変だったエピソードは数えきれないほどです。それでも、「先生の指導がなかったら今の私はありません」と、教え子たちから感謝された時には嬉しく思います。

私は阿弥陀様のようにはなれませんし、立派な人間でもありません。ですが、浄土真宗の「救われがたい人を救う」という教えを胸に、困っている子どもたちのために出来ることを続けてまいります。

 

■地域に馴染むお寺でありたい

法福寺は、都留組(つるそ:山梨県富士吉田市・西桂町・都留市・大月市と神奈川県相模原市の17ヶ寺の組織)の中で最も小さな寺院です。ご門徒さんが比較的少ない代わりに、お盆とお取越の年に2回、必ずお宅に伺ってお勤めをし、お話をさせていただいています。長い時間をかけて良い関係を続けさせていただいたおかげで、通夜法話では故人とのエピソードを必ず盛り込み、心をこめてお見送りしています。

地域とのつながりは特に大切にしております。小学校の社会科学習での地域探検を受け入れたり、小学校でピアノのミニコンサートに呼んでいただいています。門徒さんとは、近年はコロナの流行状況を見ながらですが、団体参拝旅行など、親睦を深めるためのイベントも積極的に開催しています。

〜 劣らじと 気負った日々の 余裕なさ 今ふと 気づく御光の中 〜

これは私が詠んだ句です。以前は人と比べてばかりいて、なんて駄目なんだと焦る気持ちばかりが大きかったように思います。さまざまな方との出会いがあり、年齢を重ねるごとに、今では、“このままでいい”と思えるようになりました。

時に心が乱されることがあっても、毎朝6時からのお朝事でお経を読むと心が救われ、凛とした気持ちを取り戻すことができます。阿弥陀様と向き合う場があるということが私にとっての救いであり、そういった居場所があることは本当にありがたいことです。

阿弥陀様は誰しもに寄り添ってくれる、応援してくれる存在であることを、これからもお会いした一人一人に伝え続けていきたいと思います。

葬儀・法事・法要

法福寺では法事・法要での法話を大切にしています。
硬すぎず、やさしい言葉で、仏教の教えを広い視座からお伝えするように心がけています。

お墓

【一般墓】
使用冥加金:50万円以上
年間管理費:1万円
ご遺骨の一時預かりは行っておりません。

また、他宗教・他宗派の受け入れは原則不可とさせていただいております。
ご事情のある場合は住職までご相談ください。その他、お墓の引っ越しなど、お墓についてのお困りごともお気軽にご相談ください。

イベント情報

法要・お勤め(随時)

  • 修正会(1月)
  • 永代経法要(4月)
    仏様のために懇志を上げていただき、お経を唱え、仏さまに感謝を申し上げます。
  • お盆の法要(8月)
    3日間ですべての門徒さんのお宅を訪問し、お勤めをさせていただきます。
  • 報恩講(11月第3日曜日)
    親鸞聖人の祥月命日である1月16日に先立ってお勤めする宗祖親鸞聖人のご法事です。浄土真宗で最も大切な行事です。
  • お取越(12月)
    すべての門徒さんのお宅を訪問し、お勤めをいたします。8月のお盆参りとともに、門徒さんとお話をさせていただく貴重な機会です。

ミニコンサート(年1回)

年1回、小学校に招待され、住職の特技であるピアノを全校生徒に向けて演奏。
子どもにも親しみやすいクラシックの演奏のほか、モーツアルトなど音楽家についてのトークも好評。

寺院情報

寺名(ふりがな) 紫雲山 法福寺 (しうんざん ほうふくじ)
住職 田ノ倉 俊士(たのくら しゅんじ)
郵便番号 402-0001
住所 山梨県都留市田野倉1358
電話番号 0554-45-1654
交通

【電車】
富士急電鉄富士急行線「田野倉」駅より徒歩7分
JR大月駅よりタクシーで5分

【車】
中央自動車道大月インターから約10分

 

駐車場 15台
地図