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いなきさん かんせんじ稲木山 観專寺

誰でも気軽に訪れることができる場所を目指す「開かれた寺」がコンセプト。地元で様々な協会に所属し各種インストラクターの資格を持つアクティブさと、冗談などを織り交ぜた話の上手な住職が、寺を身近に感じてもらうためのさまざまな施策を展開している。境内には、親鸞聖人が梅の木に託し句(「咲きぬべき 時こそきたれ 梅の花 雪も氷も とけでそのまま」)を詠まれた時、梅樹の梢よりしきりに雨を降らしたという『霊雨梅樹(れいうばいじゅ)』の他、貴重な法宝物や文化財を多数所蔵、建立800年以上の歴史を持つ宇都宮を代表する寺院のひとつ。

歴史

常陸稲木の領主であった稲木次郎義清が、子を亡くし世の無常を感じて出家。義空と改め、天台宗の僧となる。その後、夢で天満宮のお告げを受けて建永元(1206)年に宇津の西原に「稲木山観專寺」を開山。建保2(1214)年、浄土真宗の伝道のため、親鸞聖人が常陸・下野芳賀の郡高田に法座を開き、船生の佐貫へ諸国巡歴の折に当寺に来られる事があった。その際、稲木三州守義清入道義空は親鸞聖人の教えを深く理解し、一心専念弥陀名号の行者となり、信願房と法名をいただき浄土真宗に改宗。以降、聖人相伝の念佛を人々に説き、浄土真宗の法灯を受け継ぎ続けている。

なお、現住職の5代前の稲木黙雷は画家でもあり、江戸時代の南画の大家・高久靄崖の弟子であった。当初、当寺には酒井抱一や椿椿山をはじめとする多数の画家が集まり、サロンのような場所になっていたという。このような当寺の在り方を「誰にでも開かれたお寺」と考え、親鸞聖人の七百回大遠忌の時に記念として、誰でも使用できる会館を寺の敷地内に建立。以来、お寺には大学の茶道部がお稽古をしたり、近隣の小学校の生徒達が職場体験をしに来たりと様々な人達が訪れている。

寺では前住が収集した芸術作品を多数所蔵。寺が所在するエリアは、戊辰戦争があった土地。寺には官収墓地もあるが、戦時中は家康を描いた絵を掛けるなどして寺の存立のためにこれらの所蔵品を使用する機会もあったという。作品を外部公開する特定の機会はないが、博物館へ貸し出したり、大子会館の大広間で集まりがある際などに作品を飾り、お披露目することがある。また、所蔵品の一部を収めた目録を刊行している。

さらに寺では、親鸞聖人像や聖徳太子木像、菅原道真画像、本願寺聖人親鸞伝絵切などの法宝物の他、高久靄崖の碑や池大雅・高久靄崖・椿椿山・渡辺崋山などの画幅といった文化財を所蔵。また境内には、親鸞聖人の像とともに、聖人が伝道の際に梅の木に託して句を詠まれ、梅樹の梢よりしきりに雨を降らしたという有名な『霊雨梅樹』があり、毎年香り高い見事な花を咲かせている。

住職インタビュー

当寺では、「開かれたお寺」のコンセプトの元、「法義を大切にしながら、ご門徒さんとどう向き合っていくか」ということを大事にしています。そのためにも、どうしたらもっとお寺に来ていただけるかを常に考えるようにしています。

常例法話会ではスタンプラリーを行っていて、年間12回来ていただいた方には記念品をお渡ししています。それから、不特定の方々がいらっしゃる場でもある法事をとても大切にしています。お寺や仏教と聞くと思わず構えてしまう方が多いと思いますが、堅苦しく考えないでいただきたいので、法事では誰にでも分かりやすく、伝えやすい法話をさせていただいたりして、お寺に対する構えを取り払っていただけるよう努めています。

また、特に子ども達が集まってきてくれるようになればいいなという想いがあります。私は普段、喜連川少年院の教誨師(きょうかいし)を担当したり、子ども達に親鸞聖人の教えを伝える日曜学校での活動もしています。当寺では、前住職が子ども達が遊びに来てくれるようにと境内にブランコを用意したり、祖父は相撲の土俵を作ったりもしていました。やはり子どもの楽し気な声が境内に響き渡っているというのはいいものです。

2019年の元旦に、今年の一文字として「俱」という文字を選んだのですが、この文字には「皆と共に」という意味があります。これは、観專寺のご門徒さんだけではなく、御念仏を喜ぶ皆様と共に今年一年頑張っていく、という想いを込めて選んだ言葉です。どうやら私は、皆さんに“気を遣わなくていい住職”と思っていただいているようで、日頃、悩み相談が来ることも多々ありますし、ただ顔を見に会いに来てくださるご門徒さんもいらっしゃいます。皆様にとって当寺が誰でも気兼ねなく訪れることのできる、いつも開かれた場所であることを志して、今までもこれからもいろいろな取り組みを行っていければと考えています。

葬儀・法事

「葬儀とは、亡くなった方が最後に仏様に御礼をすること。それが叶わないので、代わりにこちらで行わせていただいている」という認識の中で、ご遺族と同じ目線に立ち、ご遺族の悲しみに寄り添いながら執り行うことを大切にしている。

また、「ご法事とは、亡くなられた方を通して、私達が仏法に遇わせていただく」という考えの下、当寺でご葬儀の際に必ず行っているのは、亡くなられた方のことを聞くこと。まずは亡くなられた方を語りましょうということで、お通夜や法事の時の法話にその方のことに触れ、それから仏法へ導くという丁寧な対応には定評がある。

■葬儀
・当寺で行うことが可能。
・荘厳壇(祭壇)が設置されているため別途設置することが不要。
・和室3部屋、別館がありお通夜や葬儀後の食事対応も可能。

■法事・法要
・当寺で行うことが可能。
・和室3部屋、別館があり法事・法要後の食事対応も可能。

遠方での葬儀・法事についても相談可能。

お墓

境内には、一般墓の他、合葬墓と夫婦墓がある。夫婦墓はお墓を持ちたいが看てくれる人がいなくなってしまう方向け。また、寺から30分の場所にも墓地があるが、現在設備については検討中。お墓参りの際のお花、線香は寺で購入可能。お花については、お盆、お彼岸以外の時期は無償提供している。
【一般墓】
使用冥加金:50万円以上
年間管理費:8,000円
【合葬墓】
費用:20万円以上(1名)
※お二人目からは5万円以上
【夫婦墓】
使用料:50万円以上
※ご夫婦がふたりとも亡くなってから十三回忌までの使用。十三回忌以降は合葬墓に移る。

イベント情報

花まつり講演会(毎年4/8)

法話と落語の会と題し、落語家をゲストに呼んで境内で落語公演を行うなど、子どもから大人まで親しめるユニークな企画も展開。

こども花まつり(毎年4/1)

釈尊のご誕生をお祝いする行事で、イベント当日はビンゴ大会などの子ども達が楽しめる催しを実施。

寺院情報

寺名(ふりがな) 稲木山 観專寺 (いなきさん かんせんじ)
住職 稲木 義友
郵便番号 〒320-0042
住所 栃木県宇都宮市材木町6-11
電話番号 028-636-3551
交通

JR「宇都宮」駅から関東バスで「新川」下車、徒歩約5分

東武「宇都宮」駅から徒歩約10分

駐車場 駐車場:26台、駐輪場:30台
地図